一般社団法人富山県臨床検査技師会

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『行列のできるスキルアップ研修会 Part XⅢ』に参加して

2024.08.01

令和6年度 認定臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師制度

『行列のできるスキルアップ研修会 Part XⅢ』に参加して

 

高岡市民病院 南 昌宏

 

今年5月に石川県で日本医学検査学会がありましたが、その前日に同じ石川県の会場で、認定資格者向けの更新研修が行われました。この度、私も参加してきました。

本研修では、世にも珍しい『精度管理の実習』がありました。6人ごとのグループワークで、それぞれで3つの課題に挑みました。

課題1)『是正処置を考える』(精度管理試料の溶解間違いによる内部精度管理異常)

…   マイクロピペットの設定を誤り、内部精度管理のデータが外れて大騒ぎになった事例に対し、再発防止策を考えましょう、という課題。可変式ピペットをやめるなどの意見が出ました。

課題2)『管理運営の視点で考える』(組織マネジメントや新人学生教育、学術活動について)

…   生化学・免疫検査の結果報告をもう少し早くできないか?…と臨床から相談されました。何ができそうか提案してください、という課題。グラフ化されたTATより、再検査の見直しへ発展しました。

課題3)『精度管理を極める』(現場での活用方法)

…    総蛋白の日差精度管理が最近外れる…と新人技師より相談されました。内部精度管理データを見て、SDとCVを求め、X-R-Rs管理図を鉛筆で書きなさい。そこから導かれる、新人技師へのアドバイスを考えましょう、という課題。(この新人技師、データが外れるたびにそのデータを含めて管理条件を計算しなおし、知らず知らずと許容管理条件を変えてしまっていたことが推察されました。現実の話だったら大問題です。)

グループワークなので、皆で意見を出し合い、まとめて発表する形式でした。特に3番目の課題の手計算が大変で、グループ全員が時間内に完了できませんでした。日頃いかにパソコンに頼っているかがわかります。

この研修を通して、自身の持つ認定資格が、検査室の品質保証をテーマにしていることを再確認しました。また、他県の技師と共に課題解決を話し合う中で、様々な考え方があることも感じました。普段指導する立場にある技師は、手技を間違えた技師は実力不足と斬り捨てて、教育徹底を対策だと述べましたし、規模の大きい病院の技師は、新しい機器への更新を簡単に提案していました。きっと私の提案も、皆さんから不思議に思われることがあったかもしれません。しかし、どの提案も一長一短あるものの、正解であるようにも思え、結果的に楽しんで終えることができました。

精度管理や品質保証に関する研修は、開催する方も悩ましいテーマではないでしょうか。とはいえ、これらも私達の身近な問題であるはずです。この研修で得た経験を、ぜひ日頃の業務に活かしていきたいと思います。

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