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開催・報告・お知らせ
令和4年度富山県医学検査学会(第47回)が開催されました
2023.03.15
富山県医学検査学会が開催されました。
富山県臨床検査技師会 広報副部長
上野 剛志
2月25日富山県医師会館1階大ホールにおいて、令和4年度富山県医学検査学会が開催されました。コロナ禍で有るため感染対策を徹底して行なわれました。
演題数は例年を上回る12演題の発表があり活発な議論も行われました。若手技師、演題発表が初めてという技師が中心になっている本学会は、経験値を積む良い機会といえます。
演題発表の後は、『臨床検査技師へのメッセージ -検査実施からもう一歩前へ-』と題し、富山大学副学長 北島勲 先生からの特別講演がありました。
最初に「仮想症例を考える」とし、いくつかの症例を提示されました。
ラボデータのどこに注目をすべきなのか、どのような内容を臨床へ伝えるべきなのか、また一見異常値を示しているが、真の異常値であるのかどうなのか(採血管の選択ミス、点滴ライン液の混入など)を正しく見極めることの必要性についてお話しされました。
また、検査技師からの報告と示唆してもらったことが自身のライフワークとなった事例として、関節液中にATL細胞があると報告を受けた症例、那須・ハコラ病(難病指定、細胞膜の遺伝子異常)であることが判明した症例について話されました。特に後者においては、「大腿骨嚢胞の穿刺液中にゴミみたいものがみえるので、検査技師がゴミとの鑑別のためにHE染色だけでなくPAS染色とズダン染色の追加をおこなってくれた。そのおかげで生体から生まれた物質であると確証が得られ、診断に辿り着くことができた。最近では、アルツハイマー病(認知症)の早期段階のリスクファクターの一つになっていることまでわかってきた。いずれにしても事の始まりは、検査技師がプラスアルファのことを自主的に行ってくれたおかげである。」ともう一歩前へ進むことの重要性を話されました。
最後には、ノーベル医学生理学賞(2018年) 本庶 佑先生の言葉を紹介されました。
研究に必要な6つの「C」とは、
- Curiosity(好奇心)
- Courage(勇気)
- Challenge(挑戦)
- Confidence(確信)
- Concentration(集中)
- Continuation(継続)
★検査技師としていつまでもずっと大切にしていきたい教訓となる言葉ですね。
特別講演後の質疑応答です。
Q.パニック値を主治医へ伝達した際、「わざわざ連絡してくるな」と言わんばかりの言い方をされることがある。どのように対応するのがよいのでしょうか?
A.日頃のコミュニケーションが重要です。パニック値だけでコンタクトをとるのではなく、日頃から技師側からいろんな質問をする。パニック値にかかわらず気にかかることがあれば話をしてみる。質問をされると医師はそれに答える傾向にある。やはり普段からのコミュニケーションが大切です。可能であればカンファレンス(症例検討会等)に技師も積極的に参加させてもらうのもよい試みです。
Q.今後の臨床検査の方向性、展望についてどうお考えですか?
A.これからどんどん高齢者が増えていく。検査技師も薬剤師、管理栄養士とともに在宅医療のチームに加わる機会が増えていくと思われる。その中で検査技師は、検査機器の取扱いのプロとして正確に結果を出してほしい。