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第52回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会に参加して
2025.04.22
第52回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会に参加して
富山市医師会健康管理センター 西島 玲衣
令和6年11月9日・10日に札幌で行われた第52回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会のオンデマンド視聴をしました。
内容は、乳腺、甲状腺、頭頚部分野における超音波診断に関する研究発表です。
視聴した中で特に印象に残っているのは、乳房超音波による乳房構成判定とGTC判定についての発表です。
GTC(Glandular Tissue Component)とは乳管や小葉を含んだ乳管周囲や小葉周囲の線維性間質(周囲間質)でのことで、超音波像では等エコーレベルの樹脂状構造にみえる部分のことです。
乳がんの発症する起源は、乳管と小葉であるため、GTCが多ければ乳がん発症リスクが高まるということを知りました。
また、GTC量と乳房構成判定が相関するということも学びました。
GTCが乳腺の間質の中に50%以上しめるものをHigh GTC、50%未満のものをLow GTCと区分されます。
GTC量と乳房構成は相関しており、High GTCの症例は高濃度乳房、FGT(乳管、小葉、間質を包括する乳腺領域、等エコー+高エコーの帯状構造)が顕著に脂肪に置換された症例はすべて非高濃度乳房と判定できます。
GTCについて学んだことで、これからやっていきたいことが3つあります。
1つ目は、GTCをみるときは、乳管と小葉をみているという意識をして検査をすることです。今までは、乳腺内に単なる豹紋状があるなと思う程度でしか検査をしていませんでしたが、解剖を理解しながら検査することが大事だと思いました。
2つ目は、GTC量、FGT/FAT比から乳房構成を予測し、マンモグラフィを受診している場合は、マンモグラフィの乳房構成判定と比較していくことです。これをすることで、検査技術の向上につながると考えました。
3つ目は、High GTCの受診者は、乳がんリスクが高い方だということを念頭に置いて検査していくことです。
GTCを観察する際、どのような連続性・規則性か、分布に偏りがあるのかをみて、正常構造から逸脱した途絶えや乱れに瞬時に気付けるように努めていきたいです。