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臨床検査総合部門研修会「COVID-19の遺伝子検査について」を聴講して
2021.03.16
臨床検査総合部門研修会「COVID-19の遺伝子検査について」を聴講して
厚生連高岡病院 浦田 孝之
第45回富山県医学検査学会臨床検査総合部門研修会にて、富士フィルム和光株式会社 横山 和則氏より「COVID-19の遺伝子検査について」と題しご講演いただきました。
講演では新型コロナウイルスの構造や感染・増殖方法、全国・富山県における感染状況の報告などの基礎的なデータから、遺伝子検査を含めた各種検査法の説明、さらには日本でも接種が開始されるワクチンについてもわかりやすくご説明いただきました。
富山県は幸いにも感染者数は流行地と比較し少ない状況ですが、増減の傾向は全国とほぼ同様な曲線を描いています。また検査法は主に、①PCRを中心とした遺伝子検査②定性・定量の抗原検査③現時点で体外診断用医薬品としては未承認の抗体検査があります。それぞれの意義・特性を理解し、どの検査を実施していくかについては施設ごとに考えていかなければなりません。
本題の遺伝子検査についてですが、富山県においても新型コロナウイルス流行に伴い、多くの施設にPCR機器が導入されました。今まで遺伝子検査を実施していなかった施設も多くあると思います。COVID-19は国民全体の関心が非常に高く、検査結果値に対する社会的な影響の大きさなども含め特に慎重な検査が求められ、検査する技師にとっては想像以上にストレスフルな状況と言えます。それは検査結果に対しての裏付けが得難いことも一因だと考えています。当院で実施している抗酸菌PCRなどは塗抹検査、培養検査である程度裏付けが可能ですが、COVID-19の場合は臨床症状が風邪症状であったり、肺炎であったり疾患特異性があまり高くない症例も多いと思います。こんな時こそ検査の基本に立ち返り、自身で行っている検査法の理解、日々の精度管理の重要性が大きくなります。試薬、機器の関しては短期間に多くのメーカーの参入があり、それぞれの差が気になるところですが、最近になり厚労省の精度管理結果の比較や国立医薬品食品衛生研究所の一斉試験の結果報告があり参照の必要があるかと思います。
最後に、それぞれの施設で日々新型コロナウイルス対応に忙しい状況が続くと思いますが、今回の講演で学んだことを活かし、今後も常に最新の情報を入手するよう努め、わからないことがあれば各機関への問い合わせや技師間で情報を共有することが肝要であると考えます。富山県内各施設協力しながらこの難局を乗り切りましょう。